「ガルガルKくんのお話①」のつづきです。
【ガルガルの理由】
●Kくんの行動観察
前回のお泊りから数か月後、Kくんが妹Nちゃんと共にふたたび3泊のお泊りにやってきてくれました。
飼い主さんによると、相変わらずKくんはおうちでガルガルしているとのことでした(^-^;
わたしたちは、ガルガルをなんとかできないかと、1日目はとにかくKくんを注意深く観察することにしました。
ここで、改めてわたしたちがKくんの行動を観察した結果をまとめておきます。
◇Kくんがガルガルする時の状況は以下のふたつ。
①狭い空間に籠っているKくんを誘い出そうとしたり抱き上げようとした時。
②Kくんが咥えている物を取り上げようとした時。
※②についてはPetHotel11!にいる間のKくんはそうした行動を見せませんでしたが、おうちではオモチャを取り上げようとしたり、ゴハンの後で食器を下げようとするとガルガルするのだということでした。
◇上記以外の時は抱き上げても体に触れてもまったくガルガルせず、むしろ甘えて寄ってくる。
◇Kくんが緊張してガルガルしている状態がピークになる前にサッと抱き上げてしまえば大抵は咬みつかれることはないけれど、一旦ガルガルスイッチが入ってしまうとしばらく手を出せない状態になる。
◇ガルガルして咬みつこうとした後は、申し訳なさそうに上目遣いでペロペロ手を舐める行動を見せたりするカワイイやつ(笑)。
◇犬見知りだけど、もうだいぶ慣れて他の犬がそばにいても平気になってきていた。
●一生懸命想像するだけ
わたしたちは、以上のようなKくんの行動パターンを見て、一生懸命Kくんのガルガルの理由を想像してみました。
本当はKくんに
「ねえ、どうしてあんなにガルガルしちゃうの~?」
と訊いてみなければ実際の理由は判らないのですが、言葉が喋れないワンちゃんの気持ちを理解するには、結局このように行動をよく観察し、パターンを掴んで仮説を立て、その仮説に基づいて対応を考えていくことぐらいしかわたしたちにはできません。
わたしたちはトレーナーではなく、しがないペットホテルのオジサンとオバサンであると自覚しています。
100%その子の気持ちを理解できるなどとは思っていませんし、必ずその子の問題行動を直せるなどという思い上がりも持っていません。
そもそも、人に咬みつくワンちゃんは基本的にわたしたちのペットホテルではお預かりすることが原則難しいと言わざるを得ません。
何故なら、たくさんのワンちゃんをケージレスでお預かりしているペットホテルにおいて、わたしたちのどちらかが咬みつかれて病院送りになってしまったり、1匹のワンちゃんにかかりっきりになって他の子に目が行き届かない状態になっては、結果的に全体の安全が守れないことになるからです。
わたしたちの仕事は、お引き受けしたワンちゃんみんなを安全にお預かりすることであって、ワンちゃんのトレーニングをすることではありません。
本気でトレーニングしようと思ったら、2~3泊では無理なことが多いですしね・・・(;^ω^)
Kくんの場合は前回お預かりした感触から、
『わたしたちが制御できないほどの咬みつき行動ではない』
と判断していたので、次のご予約もお受けしたんです。
そして、お預かりしたからには、滞在中は少なくとも自分たちの愛犬として接するのがわたしたちのポリシーですから、Kくんの困った行動をなんとかできるならしてあげたいと思ったに過ぎません。
何が言いたいかというと、Kくんのガルガルを直せる自信なんてぜんぜんありませんでしたってことです(;^ω^)
●わたしたちが立てた仮説
Kくんの行動パターンから、わたしたちは次のような仮説を立てました。
◇ガルガルの理由
Kくんのガルガルの理由は次のふたつではないかとわたしたちは考えました。
①怯え
籠っている時に誘い出そうとしたり抱き上げようとした時のガルガルは怯えが原因のように見えました。
一見、自分のテリトリーを主張してガルガルしているように見えるKくんでしたが、ケージに手を入れて眉間をナデナデするとウットリとしていることから、この時のガルガルはテリトリーへの侵入者を威嚇しているものではないと判断しました。
つまりKくんは、自分のテリトリーに侵入されることに抵抗しているのではなく、籠っている場所から引っ張り出されることに怯えているということです。
クレートやケージに籠っている時だけじゃなくて こういう隅っこにオシリを入れている時も 誘い出そうとするとKくんはガルガルなっちゃいます (;^ω^) |
②所有権の主張
一方で、口に咥えているものを取り上げようとしたり、ごはんの食器を下げようとした時にガルガルするKくんの行動は、自分の所有権を主張している行動です。
PetHotel11!にいる間のKくんは、ごはんの食器を下げる時、1度もガルガルしませんでした。
そこで、わたしたちはこう考えました。
Kくんは飼い主さんより自分の方が上だと考えているのではないだろーか?
Kくんのガルガルや咬みつき行動に対して、飼い主さんはオドオドビクビクした態度を取ってしまうようになり、ゴキゲンを伺うような対応になってしまうことが多いですね。
それを見たKくんは、自分のガルガルの威力や咬みつきの効果を学習して、ちょっと気に入らないことがあるとその手を用いるようになったのかもしれません。
更に、オドオドしている飼い主さんの様子を見て、いつしかこう思うようになったとしても不思議ではありません。
「この人を頼ることはできない。頼りないからリーダーとは認められない。リーダーでもないのにボクの物を取ろうとするなんてナマイキだ!」
◇キーワードは『信頼』
もし、わたしたちの仮説が当たっていたとすれば、Kくんがガルガルする理由は上記のような相反するふたつの理由(”怯え” と ”自己主張”)によるということになります。
けれども、よ~く考えると相反する理由の中にもひとつの共通点を見出すことができます。
それは・・・『信頼』
つまり、Kくんが飼い主さんのことを真のリーダーだと認め、心の底から信頼できている状態であれば、どこかに籠っている時に抱き上げられることに怯えを感じる必要はないはずです。
安心して体を預けることができなくなってしまった要因があるから怯えてしまうということですね。
そして、犬の世界の序列からして、リーダーとして全幅の信頼を置いている相手にならば、物の所有権を主張することはなく、素直に身を引くはずです。
どうやら、Kくんとの信頼関係を構築しなおす必要がありそうですね。
◇人に対する怯えではなく、特定の状況への怯え
Kくんが怯えからガルガルするのはどこかに籠っている時だけで、お庭やお部屋の広い場所にいる時には体に触れようが抱き上げようがまったくガルガルしません。
そればかりか、むしろ自分から甘えてきますし抱っこ自体もむしろ好きなようでした。
そこで、Kくんの怯えの対象は人ではなく特定の状況に対するものだと思いました。
本当は人が好きで甘えたいのにある状況では人に攻撃的になってしまうほど怖いと感じてしまう・・・それは誰よりもKくんにとって大変つらい状況だろうなぁ・・・と感じました。
ガルガルしなくてよくなれば、今以上にもっともっと飼い主さんに可愛がってもらえるだろうに・・・
そんな幸せをKくんに感じてほしい・・・
なんとかKくんに怯える必要はないことを伝えてあげられないだろうか・・・
そんな風に話し合っていました。
●Kくんへの接し方
さて、とりあえず上記のような仮説を立ててみたわたしたちは、Kくんの滞在中はこの仮説に基づいてKくんへの接し方を次のようにすることにしました。
Kくんを怖がらせたり怯えさせたりすることがないように細心の注意を払いながら、Kくんが自然に怯えを払拭できるお手伝いをしつつも、Kくんのご機嫌を取ったりはせず、常に毅然とした態度でKくんに接すること!!
こうして書いてみると他のワンちゃんへの接し方と基本的に同じなのですが、既に特定の状況に怯えを感じてしまうKくんを怯えさせないためには、意識的にしなくてはならないことがありました。
それは、記憶の上書きです。
Kくんは、どこかに籠っている時に「オイデ」と呼ばれたり引き寄せられたり抱き上げられたりする状況と ”怖い” ”不快” といった感情を結び付けてしまっていました。
これとまったく同じ状況を ”幸せ” ”心地いい” といった感情と結びつけることによって元の記憶を上書きする作業・・・それがうまくいけば他のことも案外すんなり好転していくように感じていました。
さて、具体的にKくんにどのようなことをしたかについては、長くなるので次回またお話させてください。
<今日のPetHotel11!>
朝の海岸さんぽ♪
今日もいいお天気~(^▽^)
としお「SさんとRさん、今日帰っちゃうですか?」
Sくん&Rちゃん「そうだよ!
・・・って言っても近所だから
毎日のようにおさんぽで会えるけどね!」
常連のR兄弟がお泊りに来てくれたよ!
このごろすっかり社交的になったRお兄ちゃん
「おーい、としお、よろしくね~!」
としお「ようこそです♪」
Rお兄ちゃん「ボスくんもまたヨロシク~♪」
ボス「どうぞごゆっくり~~」
R弟くんは定位置のベンチの上で・・・
「可愛く撮ってよね~!」
素材がいいからどう撮っても可愛いよ~(笑)
お庭遊びで寒くなると
みんなお部屋に戻ってくるよ(笑)
人間が寒くてお部屋にいるから
人間に寄ってきちゃうんだよね(;^ω^)
としおはまたチャコに甘えて・・・
チャコ「アイタッ!!!」
チャコ「コラァーーーーッ!!」
としお「アイタタタ♥(←嬉し気)
Rお兄ちゃん「ボク優しいからクッションを
弟にゆずってあげるんだ~♪」
・・・って実はもっとフカフカのこっちの
クッションの方が好きなんでしょ?!
Rお兄ちゃん「そ・・・そんなことないよ」
夕方のおさんぽは海岸と・・・
お山の畑へ♪
夕焼けこやけで”としお”もピンクに
染まっちゃったよ!!
農家の人はすごいなぁ~~~~!
キレ~にまっすぐ畑をならしてたよ!
美味しいダイコン、待ってまーーす(^▽^)/
常連のハナちゃんもお泊りに来たよ~~♪
ナツ「あらぁ・・・アナタ・・・
ハナちゃん?!」
ハナちゃん「そーよ、ひさしぶりねナツちゃん♪」
ナツ「あんまりボサボサでわからなかったわー!」
ハナちゃん「放っておいてちょーだいっ!」
ハナちゃん「明日、トリミングで
うーんときれいになってナツを
驚かせてやるぅ~~~!」
期待してまっせ~~(⌒∇⌒)
ボス・・・ハナちゃん来たよ
微動だにせずグウグウ・・・(-_-;)
お夕飯までまったりタイム♪
R弟くんと”としお”は・・・
クッション逆の方がいいんじゃないかなぁ
(;^ω^)
R弟くん「いーーの!」
としお「そーですよ!いーですよ!」
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